黒水晶

しかしディレットが主張したいのは、自分の出自ではなかった。

“なぜ、黒水晶は現れない!?”

彼もまた、ヴォルグレイトと同じく、黒水晶の出現を期待していた。

「カーティスを手にかけた。

目論み通り、エーテルはヴォルグレイトを殺してくれた。

そこまでは、計画通りの流れだったのだ。

……なのになぜ! そこの魔法使いはちっとも怒らない!?」

黒水晶の出現方法や効果について、ヴォルグレイト以上に念を入れて下調べをしていたディレット。

「ヴォルグレイトが黒水晶を手にした暁(あかつき)には、それを横奪してやるつもりだった」

いつになっても現れることのない黒水晶にしびれを切らせ、ディレットはこうして人前に現れることにしたのだ。

「お前が、カーティスを……!

その上、エーテルが父さんを倒すように仕向けたというのか!」

イサは言い、1秒を100時間に感じるほどのめまいを覚えた。

体感する憎しみの連鎖。

人が抱く負の感情の行き着く先には、やはり復讐しかないというのだろうか……?

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