毬亜【マリア】―信長の寵愛姫―
私が、歴史に興味がないのを知ってるから、美琴は今まであまり詳しい話をしなかった。
今日は詳しく聞いてみようって思う。
昏睡状態の間に見た夢のことを。
ううん。夢とは思いたくないくらい、現実味があった。
学校の教科書に出てきた歴史上の人物である人間と恋をしたって話したら、どんな顔をされるだろう?
事故で頭でも打って、変な子になったって思われちゃうかな?
「でも危なかったらしいね。昏睡状態の間は、さ。私もおばさんから詳しく聞いたわけじゃないから、よくわかんないけど。もうこれ以上、意識が戻らなかったら回復の見込みはないだろうって言われたらしいよ。その場合は臓器移植について検討して……とかって、医者が話してたってさ」
美琴が、なんこつを箸でつまんだ。
「そうなの? 知らなかった」
私はウーロン茶のコップを掴んで、美琴の顔を見た。
お母さんから、そんな話聞いてないよ。聖も何も言ってなかったのに。
「臓器移植……か。そしたら私は本当に死んでたんだね」
「まあ、ね。でも、生きてたからいいじゃん」
美琴がにこっと笑った。
「それでね。美琴に聞いてもらいたいことがあって」
私はウーロン茶をごくごくと飲んでから口を開いた。
今日は詳しく聞いてみようって思う。
昏睡状態の間に見た夢のことを。
ううん。夢とは思いたくないくらい、現実味があった。
学校の教科書に出てきた歴史上の人物である人間と恋をしたって話したら、どんな顔をされるだろう?
事故で頭でも打って、変な子になったって思われちゃうかな?
「でも危なかったらしいね。昏睡状態の間は、さ。私もおばさんから詳しく聞いたわけじゃないから、よくわかんないけど。もうこれ以上、意識が戻らなかったら回復の見込みはないだろうって言われたらしいよ。その場合は臓器移植について検討して……とかって、医者が話してたってさ」
美琴が、なんこつを箸でつまんだ。
「そうなの? 知らなかった」
私はウーロン茶のコップを掴んで、美琴の顔を見た。
お母さんから、そんな話聞いてないよ。聖も何も言ってなかったのに。
「臓器移植……か。そしたら私は本当に死んでたんだね」
「まあ、ね。でも、生きてたからいいじゃん」
美琴がにこっと笑った。
「それでね。美琴に聞いてもらいたいことがあって」
私はウーロン茶をごくごくと飲んでから口を開いた。