毬亜【マリア】―信長の寵愛姫―
「憶測にしか過ぎん。それに答えはお前の口から聞く。それまで儂は、何も聞かんし、何も言わん」

「戦の結果も、ですか?」

「儂は聞かん。何も……聞かん」

 信長が「もう休め」と私に告げると、部屋を出ていった。

 何も聞かない……か。

 ある程度わかっているのに、聞かないなんて。それは私に対しての優しさ……なのだろうか。

 まだ認められない私への配慮なの?











 物音がして、私はハッと目が覚めた。

 耳元で、人の呼吸音が聞こえたと、思ったら上に誰から乗りかかってきた。

首筋にも何か冷たいものがあたる感触があった。

「あんた……何者だ。兄上を垂らしこんで、腑抜けにしろって命令されたのか?」

 暗闇で全く顔が見えない。
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