毬亜【マリア】―信長の寵愛姫―
「儂も気になっていることがある」

「はい?」

 私は首を傾げた。

「お前は、『死んだのかも』と呟いた。なぜそう思ったのか知りたい」

「私がこの世界で目覚める直前に、生命の危険にさらされるような事態があったんです」

「なんでそんな事態になった?」

「恥ずかしい話なんですけど。婚約をしていた彼が浮気をしているのを知って、聞いたんです。聞いちゃいけなかと思ったんですけど、でも聞かないでいるのも耐えられなくて。そしたら、浮気をしていると認められ、しかも『結婚しそびれた女と結婚するのだから、浮気ぐらい大目に見ろ』みたいなことを言われて。あまりのショックで、彼の家を飛び出したんです。その時に……」

 信長が、腕を組んで眉間に力を入れた。

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