幽霊が恋人。
第四章 哀しみに
まだ蒸し暑い空気が辺りを包み込む。



どこかにすがった蝉の声は止むことがなく、小さな水玉柄の風鈴が揺れた。





慎汰は私の隣にいる。


でも何も喋らないでただボ~っとしていた。


何か…あれから変。


暑いのかな?そんなわけないか…幽霊だし。






何考えてるんだろ…



「…琉衣は…俺…」



急に話しかけられ、私は身体がビクッとなった。


「な…なに!?」


「いや…何でもない。」



また口を閉ざす慎汰。

おかしいよ…絶対…。



なにかあるなら教えてほしいのに。








――――――――……


時間が立ったころ、私は慎汰の病院に行くことにした。


慎汰も行くのか聞いてみたけど…断られた。

まぁ…仕方ないよね。




「琉衣ちゃん。」


丁度、病室には紗由さんがいた。


「紗由さんっ。こんにちは。」


紗由さんは眠っている慎汰の横のテーブルに、持ってきた花を飾る。



「慎汰はまだ起きないみたい…。」



「…あ…そうです…か。」


「琉衣ちゃんも寂しいわよね。ごめんね。」


「そんなこと…っ。」






慎汰が実は幽霊になって私のとこにいるなんて言えないなぁ…。



気まずいように視線を逸らすと、紗由さんは私の方へ振り向いた。





「琉衣ちゃん…落ち着いて…聞いてほしいの。」


「え?なんですか?」





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