幽霊が恋人。
なのに…どうして?



「慎汰くん…バイク乗ってて事故にあったって……」



急いで病院に向かうと、ベッドの上に見たこともない彼の姿があった。



「し…慎汰…?」



私は震える手で慎汰の頬に触れる。



慎汰の反応はない。



ただ、慎汰の命を繋ぐ機械の音だけが響いていた。












――――――――……

「琉衣ちゃん。」



涙で濡れた私の頬を、慎汰のお姉さんが拭う。



慎汰のお姉さん、紗由さん。私より4コ上でいつも3人でよく騒いだ。




「紗由さん……」



紗由さんの目も、泣いた後のように赤くなっている。




紗由さんは隣に座ると、静かに口を開いた。






「あいつね、琉衣ちゃんに内緒でバイトしてたの。」



突然の言葉に、私は顔をあげる。




「……え…?」



「琉衣ちゃんの誕生日、もうすぐでしょ?……だからプレゼントのお金…貯めてたんだと思うの。」








……慎汰…。




私のために……?








「…だけど琉衣ちゃん。哀しまないで。慎汰は強いもの…絶対…絶対目覚ますから……。」



紗由さんの目から涙が流れる。



私は静かに、頷いた。
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