一億よりも、一秒よりも。
*
早めに仕事を終わらせて、会社を出た。
「デートか?」なんて声も聞こえてきたけれど、それには応えず曖昧に困ってみせた。
会社のひとは、きっと俺が恋人との関係に区切りをつけたことも知らないだろうし、そもそもキョウという人間と付き合っていたことも知らないだろう。
だってこの歳にもなって、自慢も報告も必要ないと思ったから。
陽は既に傾きかけている。
やがて世界は橙色に包まれ、藍色に抱かれる。
夕焼けを見たのは久しぶりになるのかもしれない。
どうせなら、少し回り道をして帰ろうか。オフィス街の雑踏を縫うように歩いてゆく。
早めに仕事を終わらせて、会社を出た。
「デートか?」なんて声も聞こえてきたけれど、それには応えず曖昧に困ってみせた。
会社のひとは、きっと俺が恋人との関係に区切りをつけたことも知らないだろうし、そもそもキョウという人間と付き合っていたことも知らないだろう。
だってこの歳にもなって、自慢も報告も必要ないと思ったから。
陽は既に傾きかけている。
やがて世界は橙色に包まれ、藍色に抱かれる。
夕焼けを見たのは久しぶりになるのかもしれない。
どうせなら、少し回り道をして帰ろうか。オフィス街の雑踏を縫うように歩いてゆく。