一億よりも、一秒よりも。
オフィス街を抜け、色鮮やかなショーウィンドウが並ぶ歩道を歩く。

広告を兼ねたティッシュ配りの女の子、今夜の食事はいかがですかとチラシを配る青年。ようやく仕事から解放されたサラリーマン、週末を楽しもうとする女性たち。
世界は雑多なものに溢れていて、そこにはたくさんの色がある。
 

その中から、自分はキョウを選んだのだ。
互いに好みじゃないと言いつつ、あぶれもの同志くっついて、そのままふたり、並んで歩いた。

じゃあそれは無駄だったのかというと、けしてそうではない。
彼女にとってはどうだろうか。

答えは聞かずとも想像できる。
「無駄とか無駄じゃないとか、そんなこと考えることが無駄よ」
あの粘度で、あの温度で、彼女はいつものように言うのだ。
 
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