憎しみが、とけるまで

北へ

途中まで、女の夫が追いかけてきた。

必死だった、つかまったら、何をされるかわからないから、女は走った。

新幹線に乗ってしばらくすると、女は、眠りついた。
1時間ぐらい眠っていただろうか、女は携帯を見た、夫からの着信の数の多さに、恐怖を感じて、携帯の電池をはずし、自分の存在を消した。

女は、終点で、在来線に乗り換えた、行き先はどこでも良かった。

列車が走りだして、しばらくすると無人駅にとまった。もう、どこでもよかった、ひとりになりたかった。
女は、その駅で降りた。

無人駅で降りた女は、待合室へと入った。

列車の走り去る音が消え、明かりが、見えなくなると、そこは、闇が広がり、静寂がもどってきた。

街灯が、ひとつだけの寂しい所で、何時間か、ここにいて、女は、これからの事考えようと待合室のベンチに座った。

近くで、車の止まる音がした。
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