憎しみが、とけるまで

出会い

とても寒い日だった。

最終の列車が、この駅を出てから、2時間は過ぎていた。

久しぶりに友人と会っていて、話し込んでしまい、夜中の0時を過ぎていた。

真っ暗な道を、数本の電柱の明かりをたよりに、走って、無人の駅を通り過ぎた時だ。

さっき友人のみち子と、話していた事を思い出していた。

みち子が、
あの駅でるらしいよ
と言った。

私は、
でるって、何が
とみち子に聞いた。

長い髪の・・・

女の幽霊・・・

私は、
みち子の話しを、彼女の冗談だと思っていた。

駅の待合室で、何かが動いた。

このまま、通り過ぎようと思った。

通り過ぎてしまって・・・もし、人だったら、この寒さでは、凍死してしまう・・・

私は、
懐中電灯を左に持ち、いつでも110できるように携帯を右手に持ち、駅の待合室へ向かった。

そっと戸を開け
誰かいますか
と私は声をかけた。

動いた影は、噂の髪の長い女の幽霊ではく、私と同世代の女性だった。

彼女を見た私は、あの日の私と重ねた。

あ〜彼女も、逃げてきたのだと、私は故郷に、彼女はあてもない北の街へ。
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