ハレゾラ
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよっ!」
イヤイヤをするように体の前で手を振り、(ソレ)が見えないようにした。
「翔平くん、丸見え……」
情けない声でそう言うと、彼はちょっと困ったような顔をした。
「でも男ならみんなあるわけだし」
「それは知ってるけど、何もこっち向いて立ってなくてもいいじゃない」
「まっ、そんなに気にすることないって!」
気にするでしょ、普通。
でも彼は全く隠す様子もなく、うんうんと一人納得したように頷き、それから
私の手を握った。
ドキッとして彼の顔を見つめると、彼も「うん?」と見つめ返してくれる。
いつもの可愛い笑顔。でもその仮面の下は……。
小悪魔くん、このあとは何をするつもり?
「お風呂!お風呂!」と嬉しそうに私の手を引いて歩いて行く彼。されるが
ままに引っ張られている私。
そうだ、最後の悪足掻きを彼に言ってみよう。
「お風呂で変なことしないでね?」
「まだ、そんな事言うの!?」
そう言って大笑いした彼を見て、私も観念したように笑った。