ハレゾラ

「あきこさん。昨日といい今日といい、本当にお世話になりました。もう少し
 ここに居たいけど、明日から仕事なので。またすぐに彼女と一緒に来ます。
 僕も彼女もこの旅館が、あきこさんが大好きになったから」


彼がそう言うと、少し前まで曇った顔をしていたあきこさんが、パーッと明るい
表情に変わった。


「必ずですよ! 約束っ」


そう言って小指を出した。あまりにも可愛いことをするあきこさんにクスクス
笑いながら、私達もその小指に小指を絡ませ、三人で指切りをした。

車に荷物を積み終えると二人で女将さんに向き直った。
女将さんは目にうっすらと涙を浮かべている。それを見て私も涙が出てしまっ
た。
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