ハレゾラ
運良く、車まで誰にも会うことなく到着した。
良かったぁ……と小さく安堵の声を漏らすと、彼は少し苦笑して私を助手席にそ
っと下ろしてくれた。
「はい、毛布。身体冷やさないでよ」
彼は若いのに、こういう細かいところにまでよく気が利く。
前に、「誰にでもできることじゃないよ」と話したら、
「咲さんだけに、気が利くんだよ」
なんて、嬉しいことを言ってくれるから、どんな顔をしていいのか分からず困っ
てしまった。
その言葉を思い出し、顔に熱を帯びてしまう。
恥ずかしくなって毛布で顔の半分まで隠すと、それから彼の香りがした。
毛布をギュッと握り抱きしめて目を瞑ると、彼を感じる。
「咲さんって、匂いフェチ?」
「ち、違うよっ。翔平君の匂いがするか……ら……」
「そっかぁ~。僕の匂いが好きだから、毛布抱きしめちゃってるんだ」
墓穴掘りました……。穴があったら入りたい……。
照れくさくなって俯くと、彼が優しく頭に手を置きポンポンと撫でた。
「いいんじゃない。そう言う変態チックな咲さんも好きだなぁ~」
「変態じゃないっ!!」
その意地悪な言い方にムッとして、今度は毛布を頭まですっぽり被った。