ハレゾラ
「どうしたの? そんなビックリした声だして」
「ねぇ野口くん……だっけ? 私の年齢知ってる? って知ってる訳ないよね」
「うん、知らない。でもきっと年上だよね」
「そ、そうね、年上。聞いても引かないって約束できる? うぇ~って思っても、頑張って顔に出さないでくれるかなぁ……。じゃないと立ち直れないかもしれないから」
そう予防線をしっかりと張ってから、彼に年齢を告げた。
「33歳。あなたより8つも上なの。ごめんね」
はぁ~、言ってしまった。きっと野口くん、がっかりしてるんだろうなぁ。
そう思い、恐る恐る彼の顔を見てみると、満面の笑みを浮かべていた。
「何で謝るの? そっかぁ~33歳なんだ。これでまた一つ咲さんの事が分かって嬉しいよ」
えっ? 8つも上なのに嬉しい? 私の聞き間違いじゃないよね?
納得いかず首を傾げていると、彼は赤信号で停まったとたん、また私の顔を覗き込んできた。