ハレゾラ

「やっぱり咲さん、俺の思った通りの人だなぁ。うんうん、可愛い」


私は目をパチパチさせて彼の顔を見ていた。
さっきから私のことを可愛い可愛いって……。8つも上の女に可愛い連発はキツイでしょ。これは完璧に、私を使って遊んでいるとしか思えない。


「野口くん」


「野口くんはやめません? 翔平で」


「じゃあ……翔平くん?」


「あ~、『くん』付けちゃうんだ」


「もう、さっきから何なの? 年上からかって楽しい?」


「だから、からかってないです。う~ん、でも咲さんの反応が可愛いから、止められなくなっちゃって」


「それが、からかってるって言うのっ!」


8つ年下の彼に、翻弄されっぱなしの私って……。だって可愛いなんて言われる事自体が慣れてない。


しかも年下イケメンくんになんて、生まれて初めての経験なんだから。
はぁ……。なんか食事するのが憂鬱になってきちゃったよ。
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