キケンだらけの課外授業~私の周りは不良がいっぱい!?~
唇が離れた後


伊勢谷陣は流れるあたしの涙を指ですくう。





「…なんでまた泣いてんの?」



「だって…」





あたし知らなかったんだよ。


誰かを好きになるってただそれだけで

こんなにも胸が締め付けられて

気持ちが溢れて…



どうしようもなく自分が弱くなっちゃうってこと。





「好きだから…好きすぎて泣いてるんだよ」


「は?」


「あたし…伊勢谷陣が好き…」





伊勢谷陣は一瞬びっくりして目を開いてから、ふっと笑う。




「バ―カ、言うのが遅ぇよ」



そして笑いながら、またゆっくりあたしに顔を近付ける。




「つーか…俺がお前を好きになった時からお前に拒否権はねぇんだよ」



「い…せや陣…」



「いい加減『陣』って呼べ」





伊勢谷陣はそう言って

もう一度あたしにキスをした。


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