ライアーライフスタイル

舟木は明らかに動揺した。

それでいい。

今まで素直に騙されてきたように、今回も私の話を信じればいい。

「かもしれないって……ハッキリしないもんなのか?」

「そうね。そうありたくないって思ってるし」

私は目を合わさずに小さな声で嘘を重ねていく。

こんなこと、恥ずかしいから本当は誰かに話したりしたくないのよ、という複雑な表情を上手に作れていればいいのだが。

「俺のことは、どう思ってんの?」

「好き……になるんだと思ってた」

「過去形か」

グッと目の奥に力を込め、涙を目に溜める。

関係を絶つのなら、私も相手も悪者にならないよう演出しなければならない。

それが揉めないためのコツだ。

そして関係を綺麗に断つことができた時、私はその成功から優越感を得る。

先日ストーカーまがいのことをされた原口のことはとことん悪者にしてしまったがこれは特例だ。

私は、私に欲しいものをくれた男性たちをリスペクトしているし、感謝しているし、幸せになってほしいと思っている。

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