ライアーライフスタイル
「就活の前にって思って去年手術したの。お姉ちゃんには帰った時に見せようと思って黙ってたんだ」
「いいじゃん。パッチリしてる」
でも、私ほどの仕上がりではない。
私はメスを入れる切開法を受けたが、妹はおそらく、糸で簡単に施述できる埋没法だろう。
痛みや腫れが少ないし費用も安く済むけれど、完成度は切開法に劣る。
それでも黒目がどこにあるかわからないくらいに小さかった目は、パッチリと綺麗に開いている。
明るい妹にはそれで十分だろう。
顔を変えた娘たちを、母はどう思っているのだろう。
私が整形して初めて実家に帰った時、母はにっこり笑って言った。
「随分べっぴんさんになったじゃない」
そう言って笑ってくれた母は、嬉しそうにも見えたし悲しそうにも見えた。
父はただ一言「痛くなかったか?」と尋ねた。
本当はずいぶん腫れたし痛かったけれど、「思ったほどでもなかった」と答えると安心したように笑った。
両親は私や妹が顔のことで周りから悪く言われていたことに気付いていたから、決して無断で整形したのを責めたりはしなかった。