私の片想い事情 【完】
「ゴーグル、頼むな?」
「ハイハイ……」
私の返事を聞いて、隼人がニッコリ微笑む。
ダメ……私今キュン死に(死語)できる!と今にも玄関に向かってゴーグルを買いに行きそうになった。
ぽわんと笑顔に見とれていると、その顔がキョロキョロ部屋を見渡している。
私は洗濯したてのTシャツを渡し、携帯と財布をテーブルの上に置いた。
「探し物はこれ?」
「おっ、そうそう!」
我ながら、何てデキる女なんだ、と関心してしまう。
嫁でも彼女でもないのが虚しいとつくづく思う。
「んじゃ、また後でな」
隼人は、キレイに畳まれたTシャツを当たり前のように着て、携帯と財布だけジーンズのポケットにつっこんでバタバタと部屋を出て行った。
勢いよくバタンと閉まるドアを見つめながら、私は、隼人の匂いが残るソファーに吸い寄せられるように倒れた。