私の片想い事情 【完】

「なっ、何言ってんの?冗談も―――」

「鈍感、無自覚、無防備」

「は?」


言いたいことを遮られ、何だか思いっきりバカにされたことを言われている。


それは、さすがに酔った頭でも理解できた。


「何よ、確かに飲みすぎたのは悪かったけど……だから帰っていいって言っているでしょう!?」

「みなみさんさぁ、バカじゃないの?酔った火照った身体で、そんなトロンとした顔して。男は皆誘われているって思うよ。俺じゃなかったら、絶対に襲われているから」


誘ってなんかない、そう言おうとしたけど、その先は瀧川君の唇で塞がれた。


「んんん―――っ」


ま、またキスされたーーーー!


と脳内パニック状態に陥りそうになると、チュッと音を立てて唇が離された。


「ほらね、簡単。俺の言ったこと理解した?」


瀧川君は、茫然とする私の唇をペロっと舐め、ちょっと怒った顔をしている。


「な、な、な、な、」

「何って、キスだよ。昨日したでしょ?」


唇と唇の差わずか数センチの距離でそんなことを囁かれ、私は顔がボンっと音を出して赤くなるのを感じた。


何も言えずにいると、またペロっと唇を舐められた。怒った口調とは裏腹に、今度はゆっくり感触を確かめるようにそれをされ、背筋がゾクリとなる。


腰がビクンと揺れた瞬間、瀧川君の腕が腰に回り、私の身体はベンチに押し倒された。




< 138 / 480 >

この作品をシェア

pagetop