私の片想い事情 【完】
顔が真っ赤になっているのは、多分暗くてわからないはず。
どう答えていいか分からない私は、きゅっと唇を噛んで俯いていた。
瀧川君は、肩肘をベンチの背もたれについて私を見下ろしている。
それはもう、先生に叱られている生徒のような構図でいたたまれなくなる。
しばらくの沈黙の後、瀧川君がフッと笑ったのを感じた。
顎に手をかけられ、上を向かせられる。そっと唇を撫でられ、またゾクリとした感覚が戻ってきた。
「もう何もしないから」
優しく笑う瀧川君は、それはそれは魅惑的な王子様のようで、見とれてしまう。
「今度から気をつけてね?」
「ハイ……」
「俺の言った意味わかった?」
「ハイ……」
「今度一緒にブラ買いに行こうね?」
「ハイ……えぇぇぇっ!?」」
何を言い出すんだ、この子はっ!?と目を見開けば、またまた王子様スマイルで返された。
「みなみさん、今はまだ若いからいいけど、スポーツブラで楽していたら後で垂れるよ?それに、薄着の季節にこれは絶対にダメ。まだカップが厚いスポーツブラならまだしも、こんな布一枚みたいなブラ、バカじゃないの?」
「なっ……バカって何よ!?そ、それに重力に負けるほどついてないし、誰もそんなこと気にしないわよっ!」
鼻息を荒くして反論すると、瀧川君は口角を上げて意地悪く笑った。
何だか嫌な予感がする、と思った矢先、彼の指は私の胸の頂をピンと跳ねた。