私の片想い事情 【完】
「―――っ!!!」
「ほらね、まるわかり!」
「た、た、た、た、た、」
「はいはい、息すって~吐いて~落ち着いて」
「た、瀧川君!」
「はい、何?」
過呼吸になりそうな私を宥めるように、瀧川君がポンポンと私の背中をたたく。
私は何とか呼吸を落ち着けて、彼を睨んだ。
「こういことやめて!」
「でもみなみさん感じてたよね?」
「!!!か、感じてなんかいないっ!」
クスクス笑う瀧川君は、ごめん、ごめんと私の頭を撫で、ミネラルウォーターのボトルを差し出してきた。
「酔いは少し治まった?これ飲んで帰ろう」
「う……」
これじゃぁ本当にどっちが年上かわからない。
私はボトルの中の水を一気に飲み干し、まだふらつく身体にカツを入れた。
立ち上がろうとしたとき、腰に手を回され、手を取られる。
「瀧川君、大丈夫だから」
慌てて身体を離そうとしても、がっしりと腰を掴まれ離してもらえない。
「やだね、離さない」
腰に添えた手にぐっと力を入れられ、私は瀧川君に引きずられるように歩き出した。