私の片想い事情 【完】

彼がどうしてこんなことするのかわからない。


からかって面白いから?


知り合って一週間だし、私を「好き」ってことじゃないよね。


いや、知り合うも何も、彼私のこと何も知らないし……


それに瀧川君くらいの容姿なら、私みたいな平凡女子なんかよりもっと美人でかわいくてスタイルの良い子が周りにいるはず。


どうして私?


もう昨日から私の頭の中は疑問符でいっぱいだ。


恋愛の「れ」の字もしてこなかった私は、彼の行動の意味が本当にわからなくて、アパートまでの短い距離をずっと「どうして?」と考え込んでいた。


みなみさん、と呼ばれ、はっと気が付けば、もうアパートの前。


「あ、ありがとう」

「どういたしまして」


どうしていいかわからずにいると、瀧川君の手が腰から離れ、今度は向き合うように私の手を握った。


「俺、まだみなみさんが好きとかそういう気持ちわからないけど、ふざけてこんなことしているわけじゃないから」


考えていたことをまた読まれたようで、私は何も言えない。


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