私の片想い事情 【完】
「隼人の女性不信は深刻よ。このままだとみなみは酷く傷つくわよ」
「女性、不信?」
ハンカチを私の手に握らせながら亜紀さんは諭すように続ける。
「そう、みなみも薄々気づいているでしょう?」
ドクンと心臓が鳴る。
「隼人が女に本気にならないのは、極度の女性不信からよ。まぁ、完全に拒絶していないだけマシかもしれないけど」
亜紀さんはじっと私の目を見つめる。何だか試されているようなその視線は、いつも私が気付かないようにしていた不安をかき立てる。
亜紀さんは隼人のことをどこまで知っているのだろう。
私は固まったまま何も答えることができない。
「ふ……その様子じゃ、みなみは理由を知っているようね?別にそれを話せなんて言ってないわ。ただ、恋に恋しているようなみなみが、あの男をどうこうすることができるわけないわ」
ああ、今日の亜紀さんは本気の本気で説教モードに入っているらしい。
すごく痛いところを的確についてくる。
そのダメージのヒットポイントは測りしれない。
「ひどいことを言って悪かったわ。ただ、和君のことは、みなみにとってすごく良い機会だと思う」
亜紀さんは、場所も考えず泣き続ける私の頭を撫でながら、ちゃんと考えなさい、と言って私の大好きなマンゴーアップルジュースを頼んでくれた。