私の片想い事情 【完】
居酒屋を出て、タクシーを捕まえた亜紀さんは、無理矢理私をタクシーの中に押し込めた。
お酒も飲んでいないし、タクシーなんて必要ないと力説すると、「和君を呼ぶわよ?」と脅され、大人しく亜紀さんにアパートまで送ってもらうことにした。
その道中15分。私は亜紀さんに耳に息を吹きかけられ、首筋に吸い付かれ、胸を揉まれ、散々な目に遭い、これなら瀧川君に送ってもらった方がマシだったかも、と思う程ヘロヘロになってタクシーを降りた。
本当にすごく疲れた一週間だった。
明日はもう休みの日だけど、一人で過ごすとまたマイナスの方向に考えそうで、何だか気が重い。
友達のほとんどは普通のOLが多く、私と休みが合わない。
そのせいか、今まで休みの日は隼人と過ごすことが多かった。でも、ここ一週間、隼人から何の連絡もない。
昨日、今日と事務所で顔を合わせても、軽く挨拶するだけだった。
やっぱり避けられているのかなと思いながらも、もしかしたら、新しい彼女ができたのかも、と、ぐるぐると悪い方向にばかり考えながら、ベッドの中にもぐりこんだ。
その夜は、亜紀さんに言われたことが頭から離れず、寝苦しい一夜を過ごした。