私の片想い事情 【完】
「隼人、二日酔いなの?」
エコバッグをキッチンカウンターに置いたあと、隼人はリビングのソファーになだれ込むように倒れた。
隼人からは何の返答もない。
やっぱり機嫌悪いのかな?
冷蔵庫の中からミネラルウォーターを取り出し、グラスに注ぐ。それを持って、隼人の傍までいくと、じっと見つめる隼人の視線と合った。
「こ、これ飲んで」
び、びっくりしたぁ。
今日の隼人は本当に色っぽい。気怠そうにソファーに寝そべっているだけなのに、なんだろう、雰囲気がいつもと違う。
顔だけこちらに向けて何か言いたそうなのに、じっと私を見つめて何も言わない。
ど、どうしたらいいんだろう。
こんな隼人は初めてで、対応に戸惑ってしまう。
いや―――
一度だけあった。その時は、今の隼人よりもずっと不機嫌で荒れていた。
3年前、ちょうど今日みたいに倒れそうなくらい蒸し熱い日―――
私は、その時の記憶を振り払うように頭をぶんぶんと振った。