私の片想い事情 【完】
「みなみ?」
隼人が私の髪をかき上げ、顔色をうかがうように視線を動かす。
「隼人、ちゃんとベッド行って寝よう?」
私は力が抜けた隼人の腕をから抜け出し、上体を起こした。
隼人の身体も何とか起こして、「ちゃんと寝なさい」といつものように諭す。
大丈夫、私はいつもの通り、隼人の世話役になれるから。
せっかくナノイードライヤーで綺麗にした髪はぼさぼさにになり、パーセフォニーのエレガントな香りはアルコール臭とタバコの匂いに変わった。
結局私なんてこんなもんだよね。
ソファの上で隼人と向き合うように座り、邪魔なぼさぼさの髪をかき上げ片方に流す。
その仕草に、何か確認したような隼人は、顔色を一気に強張らせた。
「―――みなみ」
さっきの甘い声とは対称的なすごく低く響くその声に、ビクンと私の身体が揺れる。
「な、何?」
「今日―――」と言いかけ、隼人は私の髪をゆっくり梳く。
露わになった首筋に指を這わせたかと思うと、その顔は酷く歪んだ。