私の片想い事情 【完】
「今日もカズと一緒にいたんだよな?」
「―――え?」
不意にそんなことを聞かれ、戸惑ってしまう。
「言えよ」
「は、隼人、急にどうしたの?」
不機嫌なんてもんじゃないその怒気を孕んだ声色に、私の心臓は別の意味でドキドキ言う。
相変わらず隼人の手は首筋に置いたままなのに、触れられた箇所が妙に冷たく感じる。
「何キスマークつけられてんの?」
「……っ……」
私は隼人の手を払い、慌てて首筋を覆い隠す。
あ、あの時―――
「みなみとカズってもうそんな関係なわけ?」
「ち、ちがう!」
「ふっ……じゃあ、そのキスマークは何?」
「こ、これは……」
「毎晩カズの匂いつけて帰ってきたってことはそういうこと?」
「ちがうって言ってるじゃない!?」
「じゃあ、そのキスマーク誰がつけたの?」
「……っ……」
獲物を追い詰めるような隼人の尋問に、私は何も言えなくなる。