私の片想い事情 【完】
私は、綾子さんから隼人を離したくて、もう二度と隼人を傷つけて欲しくなくて、ただひたすら隼人の手を掴んで進んだ。
みなみ、どこまで行くんだよ、と隼人にとがめられて初めて、大学まで戻ってきていたことに気付いた。
「あっ、ごめん」
ぱっと隼人の手を離し、隼人と向き合う。
「みなみ、こんなことに付き合わせて悪かったな」
力なく笑う隼人に、さっきから感じていた言いようのない不安にかられる。
「ねぇ、隼人、さっきの綾子さんの話信じてないよね?大丈夫だよね?」
すがるように隼人に尋ねれば、バーカと笑われた。
その笑顔がすごく悲しくて、切なくて、やりきれなかった。
「もし真実だったとしても、性がないことだろ?二人の間の話だ。今更俺には関係ねぇ」
隼人は、一人で考えたい、そう言って大学構内に戻っていった。
それから二週間、隼人は家に帰らなかった。