私の片想い事情 【完】
マネージャーは瀧川君にかまわず、私に聞かせるように一方的に話し出した。
「こいつは、高校のときに、膝を故障した。小学・中学のときの過度な練習が原因だった。水が頻繁に溜まるようになり、歩くことすら困難になったが、こいつは練習をやめなかった。多分、早い段階から痛みはあったみたいだが、我慢していたんだろうな、その時のコーチは瀧川が無理しているのに気付かなかった」
「そんな……」
「高校2年の夏。瀧川の脚は、ベッドから起き上がることもできないくらいひどく腫れ、手術室行き。そして、手術後に、病院の白いベッドで、医者に今後過度の運動を続けることは控えるようにと宣言された。JO、国体前に、死刑宣告されたようなもんだよな?それからしばらくして、瀧川は水泳をやめた」
「真さん、昔の話なんていいでしょう?それにやめたって、一応大学でも水泳部には所属してますけど?」
瀧川君がブスッと膨れた顔で話を遮る。
「大会に出ていなければ意味がないだろう?高校3年には復帰できたはずだ。それなのに、お前は、大会復帰せずに、高3の夏でやめてしまった」
「大学受験が控えてましたからね。したいことが見つかったんです。選択したことに後悔はしていませんよ」
どこかふっきれたような表情で話す瀧川君に、私は少し安心した。
でも―――
「瀧川君、本当にもう膝は大丈夫なの?」
心配そうに見つめる私に、瀧川君はまた困ったように笑った。