私の片想い事情 【完】
「今は、普通にスポーツできるよ。言わなかったのは、みなみさんがこんな風に変な心配すると思ったから。ああ、みなみさん、同情もやめてね?真さんが、克服がどうのって言っていたけど、克服していなかったら、指導者になろうなんって思ってないし。一応、教員取って、水泳部の顧問を目指しているんだから」
「そうなの?」
「そうなの。真さんが競争しようって言ってくるの分かっていたから嫌だったんだよ。この人熱血で面倒くさいんだもん」
瀧川君はマネージャーの腕から逃れながら、飛込み台から遠ざかろうとする。
「瀧川、面倒ってなんだ?面倒って?」
離すか、と言わんばかりに絡むマネージャーを、うざいと言って振りほどく姿に、思わず笑いがこみ上げてきた。
瀧川君は強い。彼は大丈夫だ。
確信なんてできないけど、彼は、現実を受け止め、それを力に変える強さを持っている。
ショックだったと思う。ましてや記録まで出すくらいだから、将来を有望されていた選手だったろうに。
でも瀧川君は、自分の目標をしっかり定め、前を進んでいる。
すごいなぁ。
彼の強さを見習わなきゃ。
隼人のことでいっぱいいっぱいになんてなってられない。
私は、今できることを精いっぱい頑張ろう。