私の片想い事情 【完】
気分が浮上できないまま小学生のクラスを終えた後、私と瀧川君は、マネージャーに事務所に来るように呼ばれた。
マネージャーのデスクの周りには、私たちの他に、高学年選手を担当しているベテランコーチと隼人もいた。
「ここ数日、小学生のコースに入ってみて思ったが、5・6年から何人か中学生の選手コースに入れようと思う。筋力トレーニングは体力・体型に応じてカリキュラムを組むが、育成に力を入れていく。4年生の中でも目ぼしい子は高学年の選手コースに入れる。各クラス担当のコーチは何人か選手をピックアップしておいてくれ」
それって、もしかして高橋君のことがきっかけで?
でも、4年生でって早すぎないだろうか?
選手コースのコーチ陳の前で、私が偉そうなことを言えた立場じゃない。
迷っていると、隣にいる隼人が口を開いた。
「マネージャー、4年生はまだ早いのでは?」
こういうミーティングではあまり口発言しない隼人が、マネージャーに意見するのは稀だ。
隼人も私同様、マネージャーに鬼の特訓を受けた経験があるせいか、私程ではないが、マネージャーには頭が上がらない。
しかし、隼人の意見を後押しするように、ベテランコーチ陣の中から、同じような意見が上がった。
「確かに、4年生で記録やJOを意識しすぎるのは良くない。だが、保護者からも要望が出ている。よそへ移られても困るしな。せっかく良い選手なのに親のエゴで潰れるのを見過ごすわけにはいかない。なるべく俺も練習に参加するようにする。小学生の体調管理を徹底するように」
決定とも言えるマネージャーの言葉に、皆一様に頷いた。