私の片想い事情 【完】

「ラーメンが嫌ならどこがいいだよ?」

「は、はぁ?」

「みなみの行きたいところでいいから早く選べよ」


瞬間湯沸かし器のように真っ赤になりながら、ドギマギする私とは対称的に、非常に落ち着いた様子の隼人君は、携帯を弄りながら、面倒くさそうに聞いてくる。


私の堪忍袋の緒がブチっと切れた瞬間だった。


「隼人、別に私食べに行きたいなんて言ってないし、このまま帰るけどっ!?」


私は、隼人から自分のバッグをひったくり、鼻息荒く怒鳴った。


でも、隼人はそんな私を気にする様子もなく、わざとらしく溜息をつく。


「何で?腹へってんのに食わないの?」

「何でって……」


私がどうして怒っているのか本当にわからない様子の隼人は、どこに行く、とまた尋ねてくる。


おかしいでしょう?


こいつ記憶喪失になったわけじゃないよね?


日曜日の夜のことをすっかり忘れたわけ?


ついでに、今朝私が勇気を振り絞って言ったことを理解してる?


私が口をパクパクさせて、反論できずにいると、またバッグを奪われた。




< 281 / 480 >

この作品をシェア

pagetop