私の片想い事情 【完】
「ラーメンが嫌ならどこがいいだよ?」
「は、はぁ?」
「みなみの行きたいところでいいから早く選べよ」
瞬間湯沸かし器のように真っ赤になりながら、ドギマギする私とは対称的に、非常に落ち着いた様子の隼人君は、携帯を弄りながら、面倒くさそうに聞いてくる。
私の堪忍袋の緒がブチっと切れた瞬間だった。
「隼人、別に私食べに行きたいなんて言ってないし、このまま帰るけどっ!?」
私は、隼人から自分のバッグをひったくり、鼻息荒く怒鳴った。
でも、隼人はそんな私を気にする様子もなく、わざとらしく溜息をつく。
「何で?腹へってんのに食わないの?」
「何でって……」
私がどうして怒っているのか本当にわからない様子の隼人は、どこに行く、とまた尋ねてくる。
おかしいでしょう?
こいつ記憶喪失になったわけじゃないよね?
日曜日の夜のことをすっかり忘れたわけ?
ついでに、今朝私が勇気を振り絞って言ったことを理解してる?
私が口をパクパクさせて、反論できずにいると、またバッグを奪われた。