私の片想い事情 【完】

「それでもみなみに触れるカズに、そうさせているみなみにすごく腹が立った。堂々とみなみが好きだと言えるカズが羨ましかったよ。俺はドロドロした感情に戸惑うばかりで、みなみをいっぱい傷つけた……ごめんな」


めったいに謝らない隼人が、頭を下げる。


それにはすごく驚いたけど、もっと驚いたのは―――


「俺があんな風に傷つけても、それでもみなみは変わらず真っ直ぐに俺が好きだって言ってきてくれた。ほんと、こんなバカな女いねーよな」

「ひどい、バカって……」

「バカだよ。こんな男さっさと見切りつければよかったのに」


隼人がぐっと私を抱き締める。


「でも、もう絶対に離さない。俺が唯一心を開けたのがみなみだけなんだ。一度みなみに触れてしまったら、もう止められない。自分を抑えていた時間が長かった分どう感情をコントロールしていいかわからない。触れれば触れるほど、みなみが必要だっていう気持ちが溢れてくるんだ」


初めて知る隼人の気持ちに、私は嬉しさよりも驚きで何て言っていいか分からなかった。


だって、ずっと一方通行の片想いだって思っていたから。


隼人の気持ちがずっとわからなかった。


人を気まぐれに振り回して、女扱いしてくれないくせに甘えてきたり。


嫉妬ととも子どもの独占欲とも分からない、そんな感情をむき出しにしたかと思えば、急に突き放されたりもした。




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