私の片想い事情 【完】
それにしても―――
「本当に、面倒な男」
「だから言っただろう。俺、かなり面倒だぞって」
湯船に移動した私たちは、向かい合うようにして座っている。
二人が隣同士に座っても余裕があるバスタブ。面と向かって座るのはまだ恥ずかしかったけど、隼人の膝の上に座るものも、何だか躊躇われた。
「でも、それが隼人なんだから性がないか?隼人が自分勝手で横暴でヘタレな臆病者なのはよく知っているもん。二股かけていた女両方から相談されたことだってあるんだから。隼人の最低なところまで全部知ってても好きなんだから、今更だよ」
「それって、俺、喜んでいいのか?」
隼人が怪訝そうに聞いてくる。
「どんな隼人でも好きって言っているの!」
「ふーん。どんな俺でもねぇ……」
隼人がニヤリと意地悪く笑う。
う……っ
これは、舌打ちと同様、非常によろしくない状況の前触れ。