私の片想い事情 【完】

「い、痛いのはこっちよ!イケメンの癖に何で石頭なのよっ!?」


上目遣いでじっと見つめられ、動揺する自分を誤魔化すように訳の分からない悪態をつく私。


あぁ、もう手が痛いし、声が上擦るし、踏んだりけったり!


「浅井さん」

「いいから早く来なさい!」

「ねぇ、浅井みなみさんってばっ!?」

「だから、何?」


いきなりフルネームで呼ばれて、足を止める。


フルネームで呼ばれるの好きじゃないのに……


「手見せて?」

「はぁ?」


瀧川君は私の手をとり、そっとその上から触れた。


(ドキン……)



< 63 / 480 >

この作品をシェア

pagetop