私の片想い事情 【完】
「い、痛いのはこっちよ!イケメンの癖に何で石頭なのよっ!?」
上目遣いでじっと見つめられ、動揺する自分を誤魔化すように訳の分からない悪態をつく私。
あぁ、もう手が痛いし、声が上擦るし、踏んだりけったり!
「浅井さん」
「いいから早く来なさい!」
「ねぇ、浅井みなみさんってばっ!?」
「だから、何?」
いきなりフルネームで呼ばれて、足を止める。
フルネームで呼ばれるの好きじゃないのに……
「手見せて?」
「はぁ?」
瀧川君は私の手をとり、そっとその上から触れた。
(ドキン……)