私の片想い事情 【完】
「みなみさん?」
「―――え?」
「だから、手。大丈夫?」
いきなり名前で呼ばれ、茫然としている私に、瀧川君はクスっと意味深な笑みを零し、今度は手の甲にキスをするように唇を這わせた。
「-----っ!な、何すんのよっ!」
やっと何をされているか理解した私は、とっさに握られていた手を引っ込めた。
一瞬目を大きく見開いて驚いた瀧川君。
そうりゃそうよね。反応が遅すぎるわよね。
「だ、大丈夫だから……」
心臓がどきどきして、反論することばは、心もとない。