私の片想い事情 【完】
プールサイドを一生懸命探す隼人を一瞥し、私は備品庫へと向かった。
確か、隼人はいつもビートバンを取りに行ってそこに物を忘れてくるはず。
「はい、あったわよ?」
「早えっ!どこに?」
「ビートバンのところ。それと、大事な大会用のファイルも!しっかりしてちょうだい?」
「さすがみなみだなぁ……サンキュ!」
嬉しそうに笑う隼人の笑顔にまたもや私の心はキュンとなる。
ホント安い女だなぁ……
そんな心を悟られまいと私はゴーグルとファイルを乱暴に渡した。
すると、ファイルを受け取ろうとして視線を手元に落とした隼人が私の手に触れる。
「ん?みなみどうした?手の甲が赤くなっているけど」