私の片想い事情 【完】
私が寝ると全身がすっぽり収まるソファーは隼人にはすごく窮屈。それなのに、隼人が私の部屋に泊まるときは必ずこのソファーで寝る。
その窮屈な大きさと感触が気に入っているらしい。
隼人は、そのソファーの感触を確かめるように顔を埋め、低い声で呟く。
「ふぁ……今何時?」
あぁ、そのかすれた声が艶っぽくて、ずっと聞いていたい衝動にかられる。
「もう9時だよ」
「やべっ!みなみ、何でもっと早く起こさねぇんだっ!?」
急に起き上がるから隼人のすごくキレイな顔が近づき、私の胸がトクンと鳴った。
寝ぼけた顔もボサボサの髪も全てがサマになってて、すごく心臓に悪い。
「何度も起こしたわよ、隼人が叩いてもつねっても起きなかったんじゃない」
私は自分が隼人の寝顔に見惚れていたのを棚に上げ、かわいくない返答を投げつける。
「隼人の寝顔がかわいかったから起こせなかったの」
そんな風に言えれば、少しは私たちの関係も変わっていたのだろうか?