私の片想い事情 【完】
隼人は寝ぼけて回らない頭をワンコのようにぶんぶんと振り、ぼおっとその場に立っている。
何をしていいかわからず、パンイチで挙動不審な姿がかわいい、とつい笑みが零れてしまう。
「ねぇ、とりあえず、服着たら?」
「あぁ、そうだな……」
隼人はソファーの横に落ちていたジーンズを手に取り、慌ててそれを履いた。
「わりぃ、みなみ、俺このまま行くわ!あっ、歯だけ磨いていく……」
「どうぞ?」
私は言われる前に、すでに隼人お気に入りのアクアフレッシュをつけて歯ブラシを差し出した。
「おっ、サンキュ♪」
歯ブラシを受け取りながら嬉しそうに笑わう隼人は、その笑顔に私が瞬殺されていることを知らない。