理想の瞳を持つオトコ ~side·彩~
御手洗いから戻った葉子さんが…

「すっかり仲良うなって…
なんや楽しいお話しでも、あったん?」

作り物の笑顔を向け合う私達を誤解しているようで、ニコニコしながら席へ戻る。


「あったでぇ。
彩さんな、逸晴のコト何も知らん言うて、気にしてはんねん。

『逸晴さんの漢字すら、パンフレットで知りました』
なんて言うてな…

乙女心いうやつやんな?」

おどけた口調で、優しい笑顔を葉子さんへと向けるその姿からは、あの厳しい姿は想像もつかないほど…

すっかり元の、陽気な秀晴さんに戻っていた。


「えぇ!?そうなん?

…まさか、
『年齢も誕生日もまだ知らん』
とまでは、言わへんわよね?」

目を丸くする葉子さんに、

「その『まさか』です」

と答えると…

益々、目をまん丸にして…

「…やだ。
なんや…えっち」

はにかみながら俯く葉子さんに、

「あー、葉ちゃん、めっちゃ可愛ええ!!」

横から抱きしめる秀晴さん。


恥ずかしさで俯いた私なんて、目に入らない様子でのイチャつきっぷりに…

目線を上げることが出来ずにいると…

「また始まった…」

戻ってきたイッセイが、あきれ声で腰を下ろす。


「逸晴、お前いくつになった?」

葉子さんを抱きしめたまま、秀晴さんが尋ねると…

「何やねん急に。
兄貴の2つ下やから、31やろ」

ぶっきらぼうに答えるイッセイに、今度は葉子さんが続ける。


「ほんなら、誕生日はいつやったかしら?」

「葉子さんまで…
6月2日です」

訝しげなイッセイをよそに、葉子さんはニコニコしながら…

「彩ちゃん、良かったわね。
これで二つはクリアーやわ」

と言うから、私は苦笑いしながら…

「ありがとうございます」

お礼を言った。
< 102 / 151 >

この作品をシェア

pagetop