理想の瞳を持つオトコ ~side·彩~
「つまり…
彩ちゃんは一人旅に来ていて、たまたま狂言を観に行った。
そしたら、逸晴くんに見初められて、強引に攫われた…と?」
あの後…
かの子さんの提案で、とりあえず一旦、落ち着こうということになり…
ハーブティを飲みながら、事の顛末を掻い摘んで話した。
「そうなんです。
だから、どうしてイッセイが私なんかを気に入ってくれたのか、ドコが良かったのかも聞けなくって…」
首を傾げる私に、
「素敵やなぁ。
そういうのって運命的やわぁ」
目をキラキラさせる葉子さん。
「で、一晩一緒に過ごしても解放されへんと、一緒に観光したやて?
あの人混み嫌いの逸晴くんが、清水寺に行かはったん?」
『信じられない』という顔の、かの子さんに
「しかも、昨日みたいな暑い日に、夏嫌いの逸晴くんが…」
同じく、『信じられない』という顔の、葉子さん。
「しかも、その日に秀晴くんに呼び出されて食事したん?
葉子と会うたのも、今日が2回目?」
「はい…」
「そら、葉子も間違うわ…」
ハァ…と溜め息をつく、かの子さんに代わって、葉子さんが話を続けてくれる。
「あのな、彩ちゃん。
逸晴くんには昔、真剣な交際をしてはった相手がおって…
せやけど、家の事情いうか…
ウチら夫婦のせいで、その女性と別れなアカンようなってしもて…
暫くは、かなり荒れてたんよ。
毎晩、浴びるように飲んでは、色んな女性との写真が週刊誌に撮られたり…
そのことで、金銭の要求されたり…
妊娠を持ち出されたコトもあったわ。
結局、デマやったけど。
何がアカンのか、誰と付き合うても長続きしはらへんみたいで…
しびれを切らしたお義父様や秀ちゃんが、
『たまには彼女連れてこい』
言わはる度に…
『一年持ったら…
いや、結婚したいと思える相手なら、喜んで紹介します』
そない言うて笑い飛ばしてはったから…
会うたんは昨夜が初めてやったけど、今日はもう1日託されたんやし…
それにウチは、ちゃ~んと
『そういうコトや思てエエの?』
言うて、確認したんやで。
せやから、これは間違いない…て、思たのや」
葉子さんの話を聞いて…
『それで秀晴さんは昨夜、あんな酷いことを、私に言ったんだ…』
って、秀晴さんの意地悪の理由に納得ができた。
私にとっては、厳しくて侮辱的な言葉だったけれど、全てはイッセイを護るためだったんだ。
ひょっとしたら、これまでにも…
ああして、弟を護ってきたのかもしれない。
それが正しいコトなのかどうか、コトの良し悪しは別にして…
兄として、あえて憎まれ役を演じたのは、秀晴さんなりの思いやりだったんだと思うと…
辛かったであろう、そのお立場や…
ちょっとでも恨んでしまったことへの申し訳なさに、涙が滲んでくる。
彩ちゃんは一人旅に来ていて、たまたま狂言を観に行った。
そしたら、逸晴くんに見初められて、強引に攫われた…と?」
あの後…
かの子さんの提案で、とりあえず一旦、落ち着こうということになり…
ハーブティを飲みながら、事の顛末を掻い摘んで話した。
「そうなんです。
だから、どうしてイッセイが私なんかを気に入ってくれたのか、ドコが良かったのかも聞けなくって…」
首を傾げる私に、
「素敵やなぁ。
そういうのって運命的やわぁ」
目をキラキラさせる葉子さん。
「で、一晩一緒に過ごしても解放されへんと、一緒に観光したやて?
あの人混み嫌いの逸晴くんが、清水寺に行かはったん?」
『信じられない』という顔の、かの子さんに
「しかも、昨日みたいな暑い日に、夏嫌いの逸晴くんが…」
同じく、『信じられない』という顔の、葉子さん。
「しかも、その日に秀晴くんに呼び出されて食事したん?
葉子と会うたのも、今日が2回目?」
「はい…」
「そら、葉子も間違うわ…」
ハァ…と溜め息をつく、かの子さんに代わって、葉子さんが話を続けてくれる。
「あのな、彩ちゃん。
逸晴くんには昔、真剣な交際をしてはった相手がおって…
せやけど、家の事情いうか…
ウチら夫婦のせいで、その女性と別れなアカンようなってしもて…
暫くは、かなり荒れてたんよ。
毎晩、浴びるように飲んでは、色んな女性との写真が週刊誌に撮られたり…
そのことで、金銭の要求されたり…
妊娠を持ち出されたコトもあったわ。
結局、デマやったけど。
何がアカンのか、誰と付き合うても長続きしはらへんみたいで…
しびれを切らしたお義父様や秀ちゃんが、
『たまには彼女連れてこい』
言わはる度に…
『一年持ったら…
いや、結婚したいと思える相手なら、喜んで紹介します』
そない言うて笑い飛ばしてはったから…
会うたんは昨夜が初めてやったけど、今日はもう1日託されたんやし…
それにウチは、ちゃ~んと
『そういうコトや思てエエの?』
言うて、確認したんやで。
せやから、これは間違いない…て、思たのや」
葉子さんの話を聞いて…
『それで秀晴さんは昨夜、あんな酷いことを、私に言ったんだ…』
って、秀晴さんの意地悪の理由に納得ができた。
私にとっては、厳しくて侮辱的な言葉だったけれど、全てはイッセイを護るためだったんだ。
ひょっとしたら、これまでにも…
ああして、弟を護ってきたのかもしれない。
それが正しいコトなのかどうか、コトの良し悪しは別にして…
兄として、あえて憎まれ役を演じたのは、秀晴さんなりの思いやりだったんだと思うと…
辛かったであろう、そのお立場や…
ちょっとでも恨んでしまったことへの申し訳なさに、涙が滲んでくる。