理想の瞳を持つオトコ ~side·彩~
可愛らしい抹茶パフェを中心に、わらび餅や白玉コーヒーぜんざい、羽二重餅、あんみつ、葛きり、磯部焼き…

と、食玩のようなミニサイズの甘味が盛られた袱紗は、間違いなく女心を鷲掴みにする内容で、私もすぐに虜になってしまった。


半分ほど食べた所で、それまで葉子さん優香さん二人の話をただ頷いていただけの私に…

「葉ちゃんと彩さんは、どんな知り合いなん?」

突然、そう尋ねてきた優香さん。

返答に困って、葉子さんに視線を送ると…
葉子さんも一瞬、答えに困ったのか、返事が遅れる。


「彩ちゃんは、逸晴くんの本命さん。
昨日、会うたんやったら気づいたんと違うの?」

結局、葉子さんが代わりに答えてくれたのは、正確な答えではなかったから…

「あの…別にそういうんじゃ…」

訂正する為に、そう言いかけたところで、

「まぁ、そうやったん?
ウチ、そういうのんに鈍くって…
気ぃ悪くせんといてね?」

優香さんの言葉に遮られて、否定しそびれる。


「ついに、逸晴くんも、年貢の納め時なんやねぇ」

「そうなんよ。秀ちゃんも喜んでてな…
これで、お義父さんも安心しはるわぁ」

盛り上がる双子さん達の会話に割り込めずにいると、どんどん話が膨らんでいく…

「あのっ、まだ、そんな先のことなんて分かりません!」

つい、大きな声が出てしまい、一瞬、店内が静まり返る。


「あぁ、あの…すみません。すみません」

思わず立ち上がって、周囲に頭を下げると、クスクスと優香さんに笑われる。


「彩さんは、素直なんやねぇ。
ウチが彩さん位の頃にはもう、忘れてしまった大事な物を、忘れずに持ってはるやなんて…羨ましいわ」

そう言った優香さんは、遠い目をしていて…
なぜか漂ようセツナさに、私も葉子さんも何も言うコトが出来なかった。


『ダーリンから電話だよ
ダーリンから電話だよ』

沈黙を破ったのは、葉子さんの電話の着信音で…

「恥ずかしい着信音」

と、優香さんに笑われながらも、

「秀ちゃんからやわぁ~」

と、嬉しそうに店外へ出て行った。



…なんだかこの、二人っきりっていう重苦しいシチュエーションに…

昨夜の秀晴さんが思い出されて、嫌~な予感がする。


『まさか、これも試験かしら!?』
なんて思うと、顔を上げるタイミングが分からず、俯いたままいると…



「逸晴のセックスって、上手いでしょ?」


突然、信じられないような言葉が耳に入り、思わず顔を上げた。
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