理想の瞳を持つオトコ ~side·彩~
「ウチは元々、秀晴と高校の同級生でなぁ…
秀晴の家に遊びに行くと、当時まだ中学生やった逸晴がよう、お茶出ししてくれたんや。
なんでも、ウチに憧れとったみたいで、
『同じ高校に進学するから、合格したら付き合うて』
やなんて、可愛らしいコト言うてな。
結局、押しの強さにウチが根負けしてしもて…
ウチが高3、逸晴が入学してすぐの高1から6年間付き合うてたわ。
あの頃は子供やったいうのもあるけどな、逸晴はしょっちゅう結婚したい、結婚したい言うて…
逸晴が大学4年の時には、ついに本気でプロポーズしてきてん」
ニコニコと話す優香さんの姿に、心穏やかではいられないけれど、そんな嫉妬心を悟られたくなくて必死に抑え込む。
「秀晴と葉子とも仲良うてな、4人であちこち出かけたり、旅行にも行たわ。
このまま兄弟・姉妹2組で幸せに暮らせる思ててんけど、現実は残酷やったわ。
先に、秀晴と葉子の結婚が決まってしもてな…
笹森家からは、
『姉妹で嫁いで来られるんはちょっと…』
って、お許しはくれはらへんし…
双子の娘しかいない実家の父は、
「婿養子を取れ」
って、そればっかり。
それやのに、ウチを大事に思うてたはずの逸晴は、婿養子になるんを嫌がって…
『僕から狂言を奪うんは、躰の半身を奪われるのと一緒や。
僕は生涯、笹森以外の姓は名乗らん』
言うて、受け入れてくれへんかった。
時間が解決してくれると思てたけど…
私らの間は、溝が深まるだけで、もう上手いこといかへんようなってしもてん。
せやから、秀晴くんと葉ちゃんの結婚式の日…
最後の思い出に、思いっきり抱き合うて…
綺麗さっぱり、別れたわ。
ウチは、その後すぐにお見合いして結婚したし…
こないな話なんか聞かせたところで今更、過去に戻れへんコトなんか、よお分かってる。
せやから、逸晴の幸せかてちゃ~んと願おてるんやで?
憎んだり、仲違いしたわけやなし、今でも嫌いになれんと大切な人や思おてるしな。
ただ、ウチはな…
逸晴にとって、ウチが生涯忘れられない女であれば、もうそれだけで十分なんや。
少なくとも、この10年間の逸晴は、そう思わせてくれる言動しかしてへんしなぁ。
どこの馬の骨ともしれん、地の人間でもないアンタが、ナンボのもんか知らんけど…
まぁ、せいぜいおきばりやす」
軽く会釈した優香さんは席を立ち、伝票を手に取ると、
「御祝儀には足りしまへんけど…」
と言いいながら、余裕の笑みを浮かべてレジへと消えていった。
秀晴の家に遊びに行くと、当時まだ中学生やった逸晴がよう、お茶出ししてくれたんや。
なんでも、ウチに憧れとったみたいで、
『同じ高校に進学するから、合格したら付き合うて』
やなんて、可愛らしいコト言うてな。
結局、押しの強さにウチが根負けしてしもて…
ウチが高3、逸晴が入学してすぐの高1から6年間付き合うてたわ。
あの頃は子供やったいうのもあるけどな、逸晴はしょっちゅう結婚したい、結婚したい言うて…
逸晴が大学4年の時には、ついに本気でプロポーズしてきてん」
ニコニコと話す優香さんの姿に、心穏やかではいられないけれど、そんな嫉妬心を悟られたくなくて必死に抑え込む。
「秀晴と葉子とも仲良うてな、4人であちこち出かけたり、旅行にも行たわ。
このまま兄弟・姉妹2組で幸せに暮らせる思ててんけど、現実は残酷やったわ。
先に、秀晴と葉子の結婚が決まってしもてな…
笹森家からは、
『姉妹で嫁いで来られるんはちょっと…』
って、お許しはくれはらへんし…
双子の娘しかいない実家の父は、
「婿養子を取れ」
って、そればっかり。
それやのに、ウチを大事に思うてたはずの逸晴は、婿養子になるんを嫌がって…
『僕から狂言を奪うんは、躰の半身を奪われるのと一緒や。
僕は生涯、笹森以外の姓は名乗らん』
言うて、受け入れてくれへんかった。
時間が解決してくれると思てたけど…
私らの間は、溝が深まるだけで、もう上手いこといかへんようなってしもてん。
せやから、秀晴くんと葉ちゃんの結婚式の日…
最後の思い出に、思いっきり抱き合うて…
綺麗さっぱり、別れたわ。
ウチは、その後すぐにお見合いして結婚したし…
こないな話なんか聞かせたところで今更、過去に戻れへんコトなんか、よお分かってる。
せやから、逸晴の幸せかてちゃ~んと願おてるんやで?
憎んだり、仲違いしたわけやなし、今でも嫌いになれんと大切な人や思おてるしな。
ただ、ウチはな…
逸晴にとって、ウチが生涯忘れられない女であれば、もうそれだけで十分なんや。
少なくとも、この10年間の逸晴は、そう思わせてくれる言動しかしてへんしなぁ。
どこの馬の骨ともしれん、地の人間でもないアンタが、ナンボのもんか知らんけど…
まぁ、せいぜいおきばりやす」
軽く会釈した優香さんは席を立ち、伝票を手に取ると、
「御祝儀には足りしまへんけど…」
と言いいながら、余裕の笑みを浮かべてレジへと消えていった。