理想の瞳を持つオトコ ~side·彩~
「彩ちゃん、ごめんなさい。堪忍して…」

頭を下げる葉子さんに首を振り、

「葉子さんは、何も悪くないです。
勝手に泣いたりして、ごめんなさい」

私も頭を下げる。


「彩ちゃん、あんな…
彩ちゃんには、聞いておいて欲しいの…」

そう言って、葉子さんは昔話を始めた。


「元々…秀ちゃんと優ちゃんは、高校のクラスメイトやったんや。

ウチだけ女子校やったさかい…
高校2年の冬休みにな、彼氏とクリスマスを過ごすクラスメートが羨ましゅうて、

『優ちゃんは、ええなぁ。
共学やから、チャンスはぎょうさんあるんやろ?』

って、訊いてみたんよ。
そしたら…

『チャンスだけじゃ、どうにもならんけど…試してみる?
アンタは、オトコに免疫なさすぎやから、丁度エエわ』

て言うて、子供の頃にようやってた、入れ替わりを提案してきてん。

目立ちさえせんかったら、バレるはず無い思うて、登校したら…

いきなり、隣の席の男子に
『アンタ、名前は?』
って聞かれて…

優ちゃんの名前を答えたら
『アンタ、讃良優香やないやろ?
ホンマの名前は?』
って、全然信じてくれなくて…

でも…一目で私を見つけてくれはったこの人が、私の運命の人なんやって思ったわ」

頬を染める葉子さんに、

「その方が、秀晴さんなんですね?」

と、訊いてみると、花が綻ぶような笑顔で頷く。


「そうなんよ。

それから秀ちゃんは、何度も優ちゃんに私のコトを尋ねて…

でも、教えて貰われへんかったから、ついに痺れを切らした秀ちゃんが、家まで押し掛けてきて…

っていう、この話は『しの原』でしたんやったわよね?」

本当は、何度でも話したそうに見えたけれど、先が気になって、

「聞きました。
それで、続きは?」

と、先を急かす。


「この話には、あの時は言えんかった、続きがあるんや…」

深いため息を吐いた、葉子さんが話し出す。
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