理想の瞳を持つオトコ ~side·彩~
夕食は、ブランホテル内にあるフレンチレストランが予約してあり…

「お帰りなさいませ、笹森様」

と、まるで執事カフェのような言葉に出迎えられて、席へと案内される。


椅子を引いて下さるスタッフに…

「僕が…」

と言って、イッセイが代わってくれたけれど…

初めての体験に、座るタイミングが、全く分からない。


「姫君のタイミングで、どうぞ」

そう言われて、ドギマギしながら腰を落とすと…
抜群の間合いで椅子が前に出され、ストンと座ることができた。


「ありがとう」

ニッコリ笑ってお礼を言うと…

「どういたしまして、可愛い姫君」

イッセイもニッコリ笑い返してくれる。


その笑顔にキュンとときめきながら、
『…大丈夫。
何も、余計なコトなんか口にしなくたって、巧くやれる』
そう決意を新たに、優香さんの存在を頭の隅に追いやった。



ワインのテイスティングをするイッセイは、とてもカッコ良かった。


端正な顔立ちに、綺麗な長い指に支えられたワイングラスに口づける様は…
まるでテレビドラマのキスシーンを見ているかのようで、なんだかドキドキしてしまう。


「何、見惚れてるん?」

ニヤリと笑うイッセイに…

「見惚れてなんかいません。
のどが渇いて、早くワインが欲しかっただけです」

つい、可愛くない答えをしてしまったのに…

「それは失礼、姫君」

と頭を下げられ、ワインを注がれる。


「ねぇ?
どうしてさっきから、ずっと『姫君』って呼んでるの?
恥ずかしいんだけど…」

気になっていた呼び方を訊ねると…

「今夜はアヤに、かしずこうかと思てな。
ベッドの上ならなぁ~んでも、して欲しいこと言うてエエよ」

ウィンクしながら答えるイッセイに…

「ありません。
たまには、早く寝…」

そう言いかけたトコロで…

「あぁ…アヤは、ベッド以外の所も好きやったな。
例えば、お風呂とか…」

割り込んだイッセイの言葉に、思わずワインを吹き出しそうになった。
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