理想の瞳を持つオトコ ~side·彩~
「アントレは…

オマール海老、仔鳩の燻製。
半熟蒸し卵を添えた京野菜サラダ。
鴨フォアグラのちりめんキャベツ包みトリュフソース。

で御座います」

美味しくて、美味しくて…
ニコニコ、もぐもぐ食べる私を見つめるイッセイの瞳は、いつも以上に優しく見守るよう。


「どうかしたの?」

そう訊いてみても、微笑んで首を振り…

「可愛いらしなぁ…と思て、見惚れとるだけや」

なんてコトを、恥ずかしげもなく口にするから、せっかくのお料理を喉に詰まらせてしまいそうになる。


ゴホゴホと噎せる私に、グラスの水を勧めながら…

「今日、ひょっとして…
葉子さんに、かの子さんトコ連れて行ってもろた?」

と、背中を摩りながら尋ねる。


「どうして分かったの?」

「メイクが変わっただけや無うて…
肌のスベスベした感じやとか、唇の潤い方やとか…
なんや朝と違ぉとるし」

的確なコメントに…

「だよね!
髪もサラサラだし、変身した気分なんだ」

自慢げに言うと…

「まぁ、俺が端正込めて可愛がった結果かもしれへんし、真相については…
服が邪魔で、よう見えへんな。

ほな、検証は後で脱がしながら、ゆっくり…」

なんてコトを言い出す、イッセイ。


「ぬっ、脱がしながら、ゆっくり!?」

「アカン?
ほな、脱がした後に、じっくり…」

「いやいやいや…」

「そないに『イヤ』や言われたかて…
流石にココで脱がすんは…なぁ?

アヤは、せっかちさんやな」

そう言ってイッセイは、宥めるようにポンポンと頭を撫でる。


「ちょっと、な、何言って…」

ニヤリと笑う、イッセイの視線に捕らえられ…

慌てふためく私達の間を、割って入ったのは…

「ポタージュは、
京トマトのガスパチョ
で御座います」

優しい微笑みのウェイターさん。


イッセイにからかわれたせいで、喉が渇いてしまい…

ワイングラスに手を伸ばすと…

「酸味のある料理の間は、ワインを控えると、より楽しめますよ」

そっと教えてくれた。
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