理想の瞳を持つオトコ ~side·彩~
「甘鯛のポワレ京野菜菜園風
で御座います。

御嬢様のお腹の空き具合は如何でしょう?

次にお出しします、グラニテは…
発祥の地・シチリアにちなんだスタイルで、ブリオッシュと一緒に召し上がると、美味しゅう御座いますが…」

「美味しそう!
食べたいです」

興奮気味にそう答えると、ウェイターさんも嬉しそうに微笑み…

「それでは御用意致します」

と、頭を下げられた。


「ホンマに、そないに余裕あるん?
お腹、苦しかったら無理せんと、正直に言うてエエんやで?」

心配するイッセイに…

「実は、さっきまで葉子さんと一緒に、袱紗って言うの食べてたんだけど…
美味しいと食べられちゃうもんなんだね~」

アハハと笑うと、目を丸くしたイッセイが…

「袱紗って、織部園茶房の?
…太るなぁ…」

小さく呟いたのを聞き漏らさず…

「太ったらどうする?」

なんて、ワザと意地悪な質問をしてみる。


けれど…
そんな私の意地悪な質問にも関わらず、イッセイは…

「抱き心地が良ぉなる」

なんてニッコリと、空色の笑顔を広げる。


「もぅ…」

なんて、可愛いげのない反応しかできない私を、面白そうに笑い…

「せやけどその分、夜の運動が増えてしもうて、あっという間に痩せてしまうやろけどな」

と、ニヤリと笑った。


「お待たせ致しました。
キウイとキュウリのグラニテ・ブリオッシュ添え。
で御座います」

ソルベやアイスに比べると、甘味も濃さも控え目なアッサリ味のグラニテは…
バターを贅沢に抱き込んだ生地の、ブリオッシュと相性バツグン。


「美味し~い」

ウェイターさんに向かって何度も繰り返していると…

「それは良う御座いました。

しかしながら、最高の味わい方は…
大切な方から目を逸らさずに召し上がることで御座いますよ」

ニッコリと静かな微笑みに諭され、イッセイに目線を向き直す。


すると…

キャンドルの明かりのせいなのか…

私を見つめる瞳が、熱く燃えるようで…

声も出せず、目も逸らせず…

出逢ったあの瞬間を、思い出させた。
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