理想の瞳を持つオトコ ~side·彩~
見つめ合い、時間を止めたままの私達の間に…

「牛フィレ肉と賀茂ナスのミルフィーユ仕立て
で御座います」

ウェイターさんの声が割って入る。


けれども、私達の頭の中は多分…

『キスしたい』

その言葉ばかりが、ぐるぐる巡っていた。


「堪忍、ちょっとだけ…」

そう言って席を立ったイッセイを、電話かトイレだと思ったのに…

私に近づき、床に両膝を着くと…

私の両頬を支え、見上げるように唇を重ねてきた。


私の唇を甘噛みするような仕草で、何度も唇が食べられてしまう。


『もっと、深く…』

そう思ったところで、唇は離され…

「アカン…
これっぽっちじゃ、物足りひん」

肩をすくめて、困ったとおどけてみせる。


「今すぐ連れ去りたいけど、用意して貰った物は、全部食べよ?」

はにかみながら、そう言うイッセイの額にキスして…

「ガマン出来る、オトナだなんて知らなかったな~」

そう言って、からかい半分でイイコイイコと頭を撫でる。


その手をスッと取り…
舌で舐め上げるように、艶かしい口付けを落として立ち上がったイッセイが…

「俺がどれ位オトナか、後でゆっくり教えたるわ」

上から多い被さるようにキスをして、ニヤリと笑いながら席へと戻った。



「フロマージュは、如何でしょう?」

イッセイが席に戻るタイミングを計算していたかのように運ばれてきたワゴンには、様々な種類のチーズ。


「チーズには、ワインの酔いを緩和する働きが御座いますよ。

恋愛の酔いへの効果は…どうぞお試し下さい」

イタズラっぽく笑う、ウェイターさんに、今更ながら赤くなる。


『レストランで、何てことしてるんだろ、私…』
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