理想の瞳を持つオトコ ~side·彩~
「間もなく、アヴァン・デセールを御用意致しますが…
もう少しお飲みになるようでしたら、あちらのBARへ御案内致します」

ウェイターさんの手の先には、ミニバーカウンターがあり、レストランの中にこんなスペースがあるコトにイきながら、ッセイ…の表情を窺うと

「飲み足りひん時には、部屋でゆっくり飲み直そ?」

そう言うイッセイの顔には、自惚れかもしれないけど…
『早く2人っきりになりたい』
って、書いてあるような気がして、嬉しさと恥ずかしさが込み上げてくる。


緩む頬をごまかすように頷くと、ウェイターさんが…

「それでは、御用意致します」

と言うと、サッと…

アーモンドのフロランタンを一口サイズにしたものと、デザートワインが運ばれてくる。


それらをいただいている間に、デザートが用意され…

「デセールは、りんごのシブーストで御座います。
こちらのきな粉アイスは、抹茶のエスプレッソと共にお召し上がり下さい」

さっきまでは、あんなにセツナイほろ苦さだと感じた抹茶も…
イッセイと見つめ合って食べるだけで、香りまで円やかに感じる。


「美味しい」

顔のニヤケが止まらない私を見つめるイッセイもまた、頬が緩んでる。


「カフェ・ウ・テは如何なさいますか?」

ウェイターさんの問いかけに…

「何を打てば良いんでしょうか?」

キョロキョロと、打ち鳴らせそうな物を探すと、イッセイが吹き出す。


「食後の飲み物を訊かはったんや」

クックックと笑うイッセイに、顔を赤くしながらウェイターさんを見ると…
全く動揺する素振りも見せずに、穏やかな表情で…

「プティフールには…
レモンピールをふんだんに使用したタルトを、御用意致しております。

御紅茶をお勧めしたいのですが、如何でしょう?」

と言って下さり、お願いする事にした。


紅茶とお菓子を頂きながら…

「あ~、幸せ。
お腹いっぱい」

と独り言を漏らすと…

「えっ?
一緒に居られて幸せ?
この後は、俺でお腹いっぱいにしてほしい?」

なんて、また勝手なコト言うから…

「酔ってるんじゃないの?」

と、あしらうように言ったのに…

「酔うてるよ、アヤに」

なんて、歯が浮きそうなセリフをニコニコしながら言うから…
恥ずかしくて、顔が上げられない。


「ホンマは、酔うてる言うより溺れてんのやけどな」


…今のは、私を好きになったってコト?

それとも、オトナの言葉遊び?

初めて聞く単語に、躰が熱を持つのは、飲みすぎたせいなのかな…
< 139 / 151 >

この作品をシェア

pagetop